2003年3月

2003-2005

反省

調子が悪い時に
人を招いたりするもんじゃない。
私は今、打ちのめされた心でこれを書いている。

今回、私のホームページを制作してくれた
(有)アクセントのスタッフが来てくれた。
今日来る事はもう前から決まっていて
そのために準備しなければならない事が
たくさんあった。

けれど、このところ
ふさいだ心で毎日をおくっていた私には
もはや何の力もなく、
なんとなく今日という日を迎えてしまい、
おいしい玄米を出そうと思っていたけれど
お米を水につけておくのも忘れ、
結局パスタにしようと
当日決めた。

まずは、師匠が海で釣ってきた魚を出す。
刺身、タタキ、フライ、焼き物といろいろ。
と、ここまではよかったけど。

パスタ。
びっくりするほど
塩辛い味付けになってしまいました…。
どうしてこんなことに。

身体に良くない限界ぎりぎりまで
しょっぱいパスタ。
食べたら病気になりそうな
パスタの塩辛。

私は、せっかく来てくれたみんなに
申し訳ない思いでいっぱいになり、
悲しい心で
最後にコーヒーを
そっと出した。

これは、もうこのままにはしておけない。
解決しなければいけないことがあると悟った。
なにもせず、暗い心のまま
これ以上進むことは許されない。
心の闇に目を向けよう。
恐れず、じっと見よう。
何が自分を苦しめているのか。
あの「悲しい出来事」だろうか?
…わからない。 今はまだ。
ただ、ひとついえることは。
私は今、自分で悲しみを選択している。
きっと悲しがりたいんだ。
人生のなかでそういう時を通過しているにすぎない。
この痛い感じをじっくり味わおう。
怖がったり、逃げたりする必要はない。
抵抗すると余計苦しくなるという事を
思い出した。そう。そうだった。
悲しむことは悪いことじゃない。
人として「悲しむ」というスイッチが
心のなかにある以上、たまにその力を使わなくちゃ
バランスのとれた深い人間にはなれないのかもしれない。
苦しいけれど、このまま進んでみよう。

あんなままじゃ、人をしあわせにするような
おいしい料理なんてできるはずない。
一番大切な「もてなしの心」が欠けていた。
だから失敗したんだ。
「もてなす」心の中心にあるのは
安定した強さ、だと思う。

今、私の脳裏に浮かぶのは
「失敗は成功のもと」という言葉。

追伸  (有)アクセントの皆様へ。
     この度は誠に失礼いたしました。
     この場を借りて深くお詫び申し上げます。
     次回は夏野精進料理で
     最高のおもてなしをさせていただきますので
     今後ともよろしくお願い致します。

魔法を使う人

このところ、
ぐずぐずしたメールのやりとりなどしていたら、
心配したK氏から「気晴らしに自宅に来ないか」と
お誘いを受けた。
なぜ気晴らしかというと
K氏の家にあかちゃんがいるから。
お誘いメールには「おいしいごはんもごちそうするよ」
と書いてあった。

あかちゃんと、ごはん。
「かわいい」と「おいしい」
楽しそう。

行くことにした。

その日はあいにく雨模様だったけど
K氏ご夫妻はやさしくて、あかちゃんもかわいくて、
部屋の空気はあったかで。

意味もなく涙ぐむ。

K氏は何もきかない。

でも、お茶のおかわりをいれてくれたり
すてきな音楽をかけてくれたり。

何気ないそういうことのひとつひとつが
まるで何かの薬が効くみたいに
私の心にしみてきて
また
涙ぐむ。

お昼は、お寿司。
あらためて思ったけど
お寿司ってなんだか派手。
その華やかさがまぶしい。

そして食べてる間に突然、それは起った。

たったひとりで
くるしみの真ん中にいるように思っていたけれど
こんなふうに
やさしくはげましてくれるひとがいるんだ。
わたしはひとりじゃない。

なにかにつつまれているような気分になった。

K氏は
直接的には、私に何をしたというわけでもないのに
なぜだろう。
心が晴れてきた。

わたしもいつかこんなふうにさりげなく
ひとのために…。

やさしい魔法を使える人になりたい。

変化の兆し

くじけた心のままで
不安定な毎日をおくっていた私に
「この本を読みなさい」
と言ってくれた人がいた。
翌日、すぐ読んだ。
そこに何か「答え」が書いてあると思ったから。
今の私を救ってくれる「答え」が。

その本に
新しいことは何一つ書かれていなかった。
書いてあることは
私の知っていることばかりだった。

けれど、その時。

流れが変わった。
私は見逃さない。
変化が訪れるのをずっと待っていたから。

「知っている」ことを
思い出したんだよ。

答えはいつだって
自分の内側にある。
外に答えを求めていたから
ずっと苦しかったんだ。

どうして忘れたりしたんだろう。

「知ってる」だけで
「わかって」なかったからだ。

知ってるだけじゃだめなんだ。
本当にわかるまで
くりかえし訓練しなきゃ。

スタジオ

久しぶりのスタジオ。

白ホリのスタジオって好きだ。
空気がりん…としていて
気がひきしまる。

言葉にできない
いくつものことを
また思い出す。

そう、私は忘れていた。
いろんなこと。

「悲しい出来事」の衝撃で
いっぺんに吹き飛んだ
強い心のカケラたち。
もう一度ひろい集めて
はじめからやりなおしだ。

あこがれのひと

美都さん、というひとがいる。

美都さんの家には
いろいろな「ヒント」や「答え」が散らばっていて
遊びに行った時
それらを勝手に持ち帰ってきて
自分の宝物にするのが好き。

美都さんに会うと心が太る。

美都さんは今、お茶と着物にはまっていて
この前遊びに行ったら
「好きな着物をひとつ選んでいいよ」と言って
私に着せてくれた。

私がこっそり「美都ごはん」と呼んでいるのは
美都さんの手作り料理。
食べるたびごと、美都さんを好きになる。
あぁ、ぜったい、ぜったい、
こんなふうになりたいと、強く願う。
美都さんはあこがれのひと。

変化

なんか、流れが変わってきた。
…ように感じる。
うまく、まだ説明できないけど。

これは…。
覚えのある感じ。
悪い感じじゃない。

回復する時って気付きの連続が始まる。
強い心でいられるためのいろんな事を思い出したり
人に会う機会が自然と増えて
交わす会話も増えて
そのなかにある「ヒント」から
気付きのチャンスがやってくる。

こうして書いている間にも
どんどんスピードが増してくる。
変化してる。
進み始めたんだ。

急に動きが出てきたので
自分でその速さについていけない。
あせらないように。
ころばないように。
どきどきしてる。

もうすぐトンネルを抜けるのかも。

引っ越し

引っ越すことになりました。
行き先は…。
深く考えずに、流れにのったら
なんと、お江戸日本橋。
東京の、ど真ん中。

とてつもないことのはじまりだ。

なので、いきなり我が家は引っ越しの準備で大わらわ。
今日はアシスタントのかっちゃんと
女優、松井ひろみが手伝いに来てくれた。
松井は、私の作品アリスシリーズのモデルも
つとめてくれている。

夜、荷物にうもれてみんなでごはん。
なんか…
いい思い出になる、こういうのって。

被写体

シャッターをきる瞬間は
100%自分の世界。
孤独で、気持ちいい。

この世はね、止まってるものなどないでしょう、
ひとつも。
不変なものなどひとつもない。
すべて流れてる。動いてる。

それを、止める。止めてしまうんだ、無理に。
写真て。
視界にあるものを勝手に切り取って
ここからここまで、って。
永遠に止まったままの世界をつくって
閉じ込めちゃう。
写真家なんてすごいエゴイスト。
だからそれは、
本当はとても罪深いことだと思うの。
宇宙の真理に逆らってる行為だからね。

だからこそ、私は被写体を愛する。
心から愛するものしか被写体に選ばない。
永遠に、
自分だけの世界に閉じ込めたいほど、
愛してしまったんです、
神様、どうか許してください、って思って。
シャッターきる瞬間、
私の魂の中心がちくっとするんだ。

愛するってどういうことか。
今の私は、知ってる。
写真が教えてくれた。

愛から発信することなら
神様も許してくださるだろう。

大荷物

連日引っ越しの準備が続いている。

つらい。
くるしい。
なぜにこんなに荷物が。
ほんとにいつの間に…。

こんなにたくさんの物がないと
私は生きていけないのか…。
ならば生き方を変えたい。
今こそ。

あぁ。
楽しく引っ越しをしようと思っていたのに。
まずは自分の生き方をつきつけられて…。
「これでいいのか?」
と尋ねてくる、神の声が聞こえる。

救済メール

まだまだ続く引っ越しの準備。
うんざりしていた私のもとに
いい感じのメールが届く。

荷物の整理途中に思いがけない物が出てきて
つい手が止まっちゃたりして作業が進まなくても
それを楽しめ、というような内容の。

潔く物を捨てる自分に酔ったり、とか。
そんなことも書いてあったな。
…ふぅん。
もったいない、とかいう部分でストレスを感じてたけど。
酔うんだな。捨てる、という行為に。
なるほど。

とんでもないバチあたりな自分を認めた向こうに
その気持ち良さはありそうだな。

よし。おもしろいぞ。引っ越し。
また楽しい気持ちになってきた。

無くしもの

リモコンがない。
エアコンのリモコンが。

明日、エアコンの取り外し作業がある。
昨日、電話で
「作業に必要なのでくれぐれもなくさないように」
と係りの人に言われたばかりなのに。

あぁ…。
どの荷物にまぎれたのか。
もうどこをさがしていいのやら…。

キーっとなってしまった。

こんなとき、私はどうして
キーっとなったりするんだろう。
冷静にさがして、とか
それはもうぜったいできない。

さよなら下北沢

いよいよ引っ越し。
苦しく長い準備もやっと終わり。

引っ越し屋が来て、さぁーっと
荷物を運んで行った。

部屋の中はがらんとして
さみしくなった。
こんな気持ちになるなんて。
ちょっとびっくり。
そうか。
春は出会いと別れの季節だったな。
この部屋であったいろんな事を思い出して
なんか、しんみりする。

最後にお茶しようと
1階(うちは4階)のカフェfufuに行ったら
店長さんがデザートのプレゼントをくれた。

毎朝焼き立てのパンを買いに行った
マルジュウさんにもお別れの挨拶に行った。
いつも陽気なおじさん。
おいしいパンをありがとう。
最後に一番好きなぶどうパンを買ったら
サンドイッチをおまけにくれた。

毎月積み立てしてた信金の飯山ちゃん。
うちの担当だったけど
お別れだね。

だいこんまん、おいしいお好み焼きをありがとう、
さよなら。
両花のマスター、いつも酔っぱらってごめんね、
さよなら。
ドラマの店員さん、さよなら。
駅前のダイエー、さよなら。
キッチン南海のおじさん、さよなら。
雑貨屋カーニバル、さよなら。
キシフォトのおにいちゃん、さよなら。
定食屋千草のおばちゃん、さよなら。

さみしいなぁ。

フレンドリーな街だった。
さよなら、下北沢。

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