衝撃

時々びっくりするようなことに出逢う。
びっくりしたことで
私のなかでは特殊な反応が起り、
それがまた相手をびっくりさせるようなことになる…
衝撃の連鎖。
そしてそのあとの、静かな心といったら。
もう何かが、死んでしまったかのような。
ニューヨークで松井を撮る。
もう絵が見えているので、こういう場合はたいてい成功する。
彼女とは、なんと二年半も連絡を取らなかった。
顔も見ず。　声も聞かず。　メールもせず。　手紙も書かず。
もうこの世では二度と会えないかもしれない、と覚悟したことも。
なので、
個展にいきなり現われた時は、一瞬目の前で何が起ったかわからなかった。
あの時私はきっと、ぽかんとした間抜けな表情をしていただろう。
彼女を忘れていた日はなかったように思う。
こんなに長い時間連絡を取らなかったのに、
ずっと一緒にいたような感覚はなんだろう？
「私達の糸はちょっとのびてしまっていただけで、切れてはいなかったんです」
そう言った松井…
なるほど。　うまい言い方だ。
繋がっていたのか。
最近、「苺なら必ずできる。『繋がる』という大切なこと」と言った人がいる。
そうか。　私はできるのか。　それにしてもなぜそんなことがわかるのか。
世の中にはいろんな人がいて、
私は世界のたいていのことを知らないで生きているから、
時々よくわかっている人に出逢うと驚く。
驚いたあとはいつも、その衝撃で
自分の中の何かが決定的に変化するので、
その度生まれ変わったような感覚になる。
見えてくるものは、どんどん新しい。　それが楽しくて仕方ない。
進む、ということ。