ハナノイノチ
ロータス。
花の一生は四日間です。
四日かけて花びらを開き、
咲いたと思ったら、もう
はら、っと散ってゆくのです。
最初の日。生まれる日。
まだ明け切らぬ薄暗い世界の中で、
ロータスは目を覚まします。
ぽっ と花びらが開きます。
なんとも言えない香りが漂います。
陽が高くなってくると、
また閉じて、
蕾に戻ったように見えます。
なにも知らない人が見たら、
きっとまだ蕾のままだと思うでしょう。
けれど、実は、
一度咲いているのです。
まだ薄暗い、明け方の空の下で。
一度は、世界を見ているのです。
そっと静かに。
次の日、
ロータスは少しだけ長い時間開いています。
けれど、太陽の位置が高くなった頃、
やはり閉じてしまいます。
でも、
もう蕾には見えません。
開きかけの、初々しい花のように見えます。
三日目のロータスは、思い切り咲いています。
太陽が高く昇っても、もう閉じません。
一日中光りをいっぱい浴びています。
夕方の空を見ています。
夜を迎えてもまだ咲いています。
おもいきり。おもいきり。
初めて見る夜空を楽し気に眺めているようです。
夜通し咲いて迎えた最後の朝。
潔く、
一枚一枚花びらを落として、
散ってゆきます。
さようなら、と言いながら。
私もまた、
さようなら、と言います。
もう一晩、ゆっくり夜空を眺めたらいいのにと思うけど。
せっかく奇麗に咲いたのだから、もっとそのままでと思うけど。
やはりロータスは、
私達人間に似ていると思います。
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