グランドキャニオン(世界遺産)

次なるグランドキャニオンとはいかなる場所か!
すごいものを次々見た私達は、少し興奮気味で浮かれていたと思う。
旅も中盤に差しかかりいろいろ慣れてきたところ。
ふと気が緩み、慢心してくるのはこんなとき…
ペイジの町からグランドキャニオン目指して南下している時、
途中でガスステーションが一件あったのを覚えている。
今でも、脳裏にありありと、映像として浮かんでくる。
どうしてあそこで
止まらなかったのか。
今にして思えばあれはサインだったのに
私は見逃してしまったのだ。
思ったよりアンティロープで過ごした時間が長くなってしまい、
グランドキャニオンでサンセットを見る、という計画が
危うくなってきていた。
欲張って先を急いだのがいけなかった。
ガスステーションに止まる時間も惜しいほどに私は急いでいた。
サインはいろんな形でやってくる。
キャッチできてこそつかめる信号もあるけれど、
キャッチしそこねたからこそつかめる信号もあるのだ。
私はあの時失敗したからこそ、
もうこの先、二度と、同じ過ちは繰り返さないだろう。
かみさまは、時々こんな形で私に大切なことを教えてくださる。
なんとかサンセットにぎりぎり間に合いそうだという頃、
グランドキャニオンのゲートに着いた。
が、しかし。
ここまで来てガソリンのメーターは
ほぼゼロをさしていた…
ここから、ロッジ近くのサンセットポイントまでは
あと30マイルもあるのに!
ゲートのスタッフにガスステーションはないか?と尋ねたら
すぐそこにあるよ、と教えてくれた。
よかったー
そこで給油することにした。
が、しかし。
なぜかエラーサインが出てクレジットカードが使えない。
…使えない。
他に誰も人はいない…
どんどんあたりは暗くなってくる。
遠くの雲が真っ赤に染まっている。
きっと今日は素晴らしいサンセットだったに違いない。
ここまではるばるやってきたのに、
見ることができなくなってしまった。
たったひとつのサインを見逃したばかりに….
このままここでずっと誰も来なかったらどうなるの?
ものすごい怖い場所に心が落ちた。
耳元を「ひゅ~っ…」と風が通り過ぎる。
無常の風…
一瞬泣きたくなったけれど、
泣いている暇はない。
ここで立ち往生するわけにはいかない。
たとえサンセットを逃したとしても、先へ進まなければ。
深呼吸して、ミカエルを呼ぶ。
こんな時は天に助けてもらうのが一番だ。
少しして、
一台の車が。
女性が運転している。
天使だ。
こんなふうに人間の姿をして現れる天使がたくさんいるということを
私はドリーン博士の本から学んでいたので、すぐにわかった。
天の働きを信じるとまるでおとぎ話のように現実がすべてうまくいく。
なんでも都合良くまわり始めるのだ。
私はその女性に駆け寄り、
ブロークンイングリッシュでゼスチャーを交えながら
ガソリンがなくなって、給油したいのにカードが使えないことを伝えた。
彼女はすぐさまいろいろ調べてトライしてくれたけれど
やはりダメ。カードエラーになってしまう。
(私のカードが使えなかったのは後にも先にもなぜかこの時だけ)
彼女が持っていたカードは使えるようで、
自分の車には問題なく給油できていた。
そこで彼女が「Do you have cash?」
と尋ねてきたので「yes」と答えると、
私のクレジットカードであなたの車も給油しちゃうから、
その分を現金で支払って、
というようなことを言ってくれた。
「わーい!」と喜ぶ私達!
まさに天の助けとはこのことだ。
「You are my angel!」と叫んだら、笑っていた彼女。
本当に背中に羽根がみえたよ~
チップとラスベガスで買ったお土産チョコをお礼に渡した。
ああ、
五円玉があったらもっとよかったのに!
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彼女に心からお礼を告げて
天にありがとうと感謝して
すっかり暗くなった中を園内のロッジ目指して進んだ。
その手前で
一応、サンセットが観れそうなポイントに寄ってみたけれど、
もう暗くて、どれがどうグランドキャニオンだかわからない。
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でも、なんだかとても気持ちは晴れ晴れしている。
ものすごーく大切な場所を無事通過できたような気分。
夕食は
園内にいくつかある宿泊施設の中で
一番古く由緒あるエルトバホテルのレストランに決めた。
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イメージは、箱根の富士屋ホテル。
とても素敵だった。
(私達が泊まったのは
 マスウィックロッジという山小屋風なところ)
サンセットを逃した私達は、
サンライズ計画に変更した。
真っ暗な中到着したので、
私達はまだグランドキャニオンの全貌を観ていない。
どんな姿をしているだろうと思いながら仮眠をとり、
午前4時に起きた。
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無料シャトルバスでサンライズポイントへ移動。
まだ空には月と星。
あたりは真っ暗で何も見えない。
やがて東の空が明るくなり始め、
大きな羽根を広げた天使が雲の姿をしてやってきた。
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徐々にグランドキャニオンが現れ始めた…
光とともに
ゆっくりと
太陽が顔を出した瞬間から、ぱあーっと輝く岩の芸術。
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これは  かみさまの彫刻  だと思う。
1672-7.jpg

私には大きすぎて、同調できない。
スレーブポイントがみつからない。
この一回だけでは、
なにもわからない。
ここはもう一度来ようと思う。
今度は谷へ泊まろう。
外国で世界遺産と呼ばれる場所に初めて来たけれど、
私はあまりにもちっぽけすぎて、
何かを感じるには
器が小さ過ぎた。
それがわかっただけでも
来てよかった。
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