旅のおわり
ぴーかんに晴れた空。
気持ちのいいセドナの朝です。
エンジェルが迎えに来ているよ~
と、本心さんが教えてくれた。
本心さんの家は、ちっさな森の中にあるみたいな雰囲気。
家の軒先にはいくつものドアベルが下がっていて、
夜、静かな時間には特に素敵だった…
ちゃらちゃらら~… と風に吹かれて
小さな音で天然の音楽を奏でてるみたいで。
真似したいなあと思った。
うちは、ひとつしか下げてないから。
本心さんは、天使の出入りの音だと言っていた。
朝出かけて行って、夜また帰ってくるんだって。
ちゃらら~…って。
本心さんが心を込めて豆をひいて、
スペシャルなコーヒーを入れてくれると張り切っている。
(笑)
なんて素敵なの!
私は、朝ご飯を作る手伝いをした。
もう家族みたいだ。
本心さんの家の前に、黄色いスクールバスが止まっていた。
なんだろう?と思ったら、友達だと言う。
バスの中を見せてもらった。
なんと、
家だった。(驚)
キッチンも書斎もベッドルームもアトリエもある。
これで旅しながら作品を売って暮らしているアーティストだった。
ほぉ…
私のアート魂にも火がついた。
がんばらなくっちゃ!
セドナは面白すぎる。
ちょうど開催中の、
セドナアートフェスティバルに連れて行ってもらった。
本心さん、お店があるのに。
奥さんに店番を頼んで、一緒にきちゃったよ。
何がそんなに気が合うと思ってくれるのか、
本心さんは私達といると、とても楽しそう。
光栄です。
お昼前に、一度フラグスタッフへ行きたいと告げたら、
最後にもう一回セドナへ戻って来いと言う…(笑)
なかなか別れがたい我ら。
わかったと約束して、フラグスタッフへ。
途中休憩した場所で、カブトムシに会った。
虫、もう怖くありません。
手のひらにのせて、挨拶したよ。
フラグスタッフに到着後、
お目当てのインディアンジュエリーのお店へ直行。
私は、妹への誕生日プレゼントをみつけた。
そして… またしてもカチーナに釘付け!
前に寄った時にはそうでもなかったのに。
セコンドメサへ行ったあたりから、私の心はカチーナに恋してしまった。
カチーナ、カチーナ、愛しのカチーナ….
さて(笑)、私は…
このあとどうしたでしょう?(答えはエッセイの最後に)
それから、
一番最初にこの町に立ち寄った時にみつけていた教会へ行った。
中に入った。
小さくて、誰もいなくて、静かだった。
お祈りをして、写真を撮った。
ふたたびセドナへ戻る。
なんとなくそれぞれが目を逸らしながら
先へ先へ延ばしていたことが、とうとう目の前にやってきてしまった。
お別れの時がやってきた。
私は、
まさか自分がここで
泣くとは思わなかった。
子供みたいに泣きじゃくってしまって、自分で驚いた。
なぜだろう。
だって、また会えるのに。
今年の春、和歌山での個展で、
最後に和歌山エンジェルズと別れる時に彼女達が泣いたのが
不思議だった。
また会えるのに、どうして泣くの?と。
今ならわかる。
あの時のみんなの気持ち。
私はきっと、少し変わった。
あの時わからなかったことが、今はわかるようになったのだ。
何かがどこかでどうにかなって。
本心さんが抱きしめてくれた時、
耳元でいくつかの言葉を囁いた。
何を言われたかすっかり忘れてしまったけれど、
勇気をくれるようなエネルギーが私の中に入ったことだけ、
覚えている。
車の中から、さようなら、と手を振った。
胸の真ん中が痛い。
大切なものが増えるほど、
人は、
痛みや切なさも増えていく。
フェニックスへ戻って、荷造りをして、仮眠をとって、
明け方の4時には空港でチェックイン。
そうか。
今までまったく気がつかなかった。
フェニックス。
不死鳥か…
私が出発前にひいたルーンが「ブランク」ルーンだった。
ルーンの書に、
“ ブランク(空白)は終わりであると同時に始まりでもあります
これは完全な信頼を表すルーンです
また、不死鳥のように宿命という灰の中から何度でも蘇る、
いわばあなた自身の真の運命に今まさに直接関わろうとする、
胸躍るような証でもあります ”
と書いてあったことを思い出した。
フェニックスに降り立って、
ふたたび
フェニックスから飛び立つ。
アリゾナの旅。
私は「ほんとうの旅」というものを
初めてしたような気がする。
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