ドイツの列車ひとり旅 その2
言葉が通じない場所へたったひとりで出かけてゆくのは、
本当に不自由なことです。
とても不安だし。
恐怖を伴います。
けれどそのことは私の中で、
出かけて行けない理由にはならないのです。
だからドイツでの一人旅を決意したのですが、
出発前は本当に緊張していました。
外国語がすらすら話せる人には話せない人の気持ちはわかりにくいかも。
でもそういう人だって一番最初はどうだったのかしら?と思う。
努力した時期とかあったんかなー?子供のうちから話せた人は別として。
私はこれからいろいろな国へでかけてゆきたいけれど、
もう今からいちいちその国の言葉を喋れるようになるのは大変すぎると思うので、
せめて英語だけでもわかるようになりたい。
と思っていたけど。
ドイツの田舎町ではほとんど英語は通じないのでした。
なんだか途中から「もうなんでもいいや」と開き直ってしまい、
絵を描いたりゼスチュアで表現したり。いろいろ。
気がついてみたら英語で話すのはなんとなくできてるらしかった。いつのまにか。
でも相手が何を言ってるのかを理解するのが大変だったのです。ゴスラーでは。
次の移動場所は、ヴェルニゲローデという小さな街。
ゴスラーから乗り換え無しで行けるのは嬉しいことでしたが、
到着したら、あたりは薄暗く、強い風とすごい雷です。
いきなり目の前の教会の塔のすぐ後ろにびか!っと稲妻くっきり。
わあー☆
いまそこに落ちたんじゃ?とビビりました。
さて、今夜泊まるホテルを探さないといけません。
雨も降ってきました。
たぶんこっちかなー
と勘を働かせながらてくてくとピカピカゴロゴロ雨風の中を歩いていくと、
魔女のマークの看板の小さなホテル発見。
ここで道を尋ねよう!とフロントへ入って行くと、おじさんがひとり。
「このホテルに行きたい」と住所を見せたら、地図を書いてくれました。
地図といってもめちゃ簡単なやつ。落書きみたいな。(こういうのはいいね!)
出る時、ネームカードをくれて「次に来たらうちへ泊まりなさい」と言ったような。
ええ、たぶん。
それでさらに歩いて、宿泊先に無事到着。
今までの不安がぜーんぶいっぺんに吹っ飛んでしまうほどのすっごく素敵な雰囲気。
入り口が笑っちゃうほど小さいんだけど、
(これスマフォで撮ってるからあとでfacebookの方に写真をアップしよう)
赤を基調にしたアートなホテルなのです。
ベルを鳴らすと、出てきたご夫人は「魔女さん?」という雰囲気☆の女性。
(格好は普通よ。普通の人。でも漂う雰囲気がね~♪)
テンションあがったー♪
ここに二泊もできるなんて!うれしすぎる。
部屋に通されてさらにテンションアップ!
だってすっごい可愛いお部屋だったのです。
そして不思議なことに、
「ここは朝ご飯はついてないの。でも下のカフェで食べれるから。
注文するものによって違うけどだいたい4~5ユーロくらいよ」
というマダムの英語の説明が、スッと一発で理解できたのです。
あとからそれに自分で気づいてすごく不思議な感覚でした。
なぜだろう?
なにがちがうんだろう?
ゴスラーの大きなホテルのフロント係のお姉さんの言ってることは
全然聴き取れなかったのに。
本当の理由を正確に説明することはできないけれど。
たぶん、
ハート?かな。
違う言葉を使う相手に、なんとか伝えようとする心。
それがあるか、ないか。
人間同士の触れ合いって不思議なもんだな。と思いつつ、
テーブルの上に飾ってあるフルーツの飾り物に手をのばしてびっくり!
それは本物のフルーツでした。
あんまり奇麗すぎるので作り物の飾り物だと思ってしまっていたので、
食べれるのか!とわかった瞬間、大感動。
朝食は付いてないとのことだったけれど、
私にはこれで充分な朝ご飯。
2日間ともお皿に山盛りな美しい朝ご飯を楽しめたのです。
ふと窓の外を見るともうすっかり雨は止んでいます。
じゃあちょっと夕方散歩にでかけようかなーと。
カメラ持って、夕飯を食べるところを探しに出かけました。
広場に立った時。私はグリム童話の中にいたと思います。
この日は日曜日でお店はほとんどお休み。
通りで一軒だけ空いてるイタリアンレストランへ入りました。
ここでカレー味のスープを注文。
(curryという文字だけ読めた。笑)
美味しかったです。
食べたら、それまで体が冷えていたということに気がつきました。
スープはいいなあ。
優しく人を元気にする。心も体もあたたまる。
私は、スープの本をつくりたいです。
食べるおまじないの本を。
レシピにもちゃんと魔法の意味がある、美味しくて不思議なスープ。
今のところそんな本を作れる編集者を私はこの世でたったひとりしか知りませんが。
テーブルの上のろうそくをひとりみつめながら、
いろいろ想いを巡らせているうちに夜は更けて。
いよいよ明日は満月。ブロッケンへ行く日です。
夜中に目が覚めると、ものすごい月明かりでした。
煌煌と部屋の中を照らして。
美しい月夜でした。
ホテルの窓辺に駆け寄り、何枚も何枚も、写真を撮りました。
童話な夜。ブロッケン山の麓の小さな街。 ヴェルニゲローデ。
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