ザイオン国立公園→アンティロープ
写真家ならまあ行っとくべきだな
と、師匠の古くからの友人、作家の山下マヌー氏に言われていた
アンティロープ。
最初、旅の計画には入ってなかったけれど、
そこまで言われちゃ行かないわけにはいかない。
ということで、
グランドキャニオンの前にペイジという町に立寄り、
アンティロープへ行くことに。
たしかに。行って納得。 師匠は大変なことになっていました…
普通のロケみたくなっていた。(笑)
ものすごい勢いで写真を撮りまくり、
めずらしく冷静さを失いかけているほどだったので、
笑った。
私はといえば、やはり驚いてばかり。
今回の旅のテーマは「驚き」だ。
東京で暮らしていると、もう何を見てもだいたい驚かなくなり、
自分はもうだいぶいろんなことを知っていて、
そうそう驚くことにもこの先出逢わないだろう、なんて思っていたけれど。
あれは全部間違いだった。
アンティロープは、
ネイチィブアメリカンのナバホ族の居留地内にあるので、
彼等の案内無しで勝手に外部の者が侵入することはできない。
ゲートでガイド料を支払い、彼等が運転するジープに乗り換え、
目的地へ出発する。
ペイジからツアーも出ているらしいけれど、
私達は直接ナバホの居留地へ入った。
ひどい砂嵐。
荒野を吹く風の音。
西部劇の映画のワンシーンを思い出す。
あれは、つくりごとじゃなかった。
空には大きな雲。 大丈夫だろうか。
アンティロープは、雨が降ると行けなくなってしまう場所なのだ。
どうか今は降らないで、と祈る。
本当は光も欲しいところだ。
写真の仕上がりにだいぶ影響してくるので。
ジープに乗り込み、いざ出発。
一羽のカラスがずっと追いかけてくる。
メッセージを持ってきているのがわかったので
「Thank you for your message」
と叫んだら、師匠に
「どうでもいいけど、あなただいぶあたまがおかしくみえるよ」
と言われた。
そうかな?
(でもあとからメディスンホイールの本で調べたら
カラスからのメッセージは「魔術」だった)
着いたところは、こんな場所。
さあ、みなさん、
ここからは写真を見て、
自分のイマジネーションをフルに働かせてください。
この写真、いっけん、広い道に見えますね。
たしかに、今、ジープで走ってきたところです。
が、
実はこれは、川です。
今は、干上がっているだけなのです。
遥か向こうから、大量の水が流れてきたと想像してください…
そして一気に
この岩の隙間へ流れ込み…
するとどうなるか。
中は…
このようになります…
この岩の芸術を作り出しているのは、鉄砲水なのでした。
これまで長い長い時間をかけて、
今もなお創り続けられている、
水のチカラの作品。
言葉もありません。
ふと見上げると、光が入ってきました…
素晴らしいコントラストです。
中はトンネルのようになっていて、
まっすぐ歩けば全長3分ほどの距離です。
行って帰ってくるだけですが、なんと私達は往復するのに
1時間30分もかかりました!
ため息の連続で、なかなか早くは進めないのでした…
アンティロープでは、過去に
突然の鉄砲水でたくさんの人が亡くなったという事故がありました。
中に入ってしまうと、逃げ場がどこにもないので、
遠くで雷が鳴り始めたら、もう行けないそうです。
外へ出たら,すっかり晴れていました。
よかった。
かみさま、ありがとう。
これは同じ場所に立って撮った写真です。
出発前と。
帰って来てから。
アンティロープの中にいる間、
何かが変わりました。
決定的に、
なにかが。
この天気のように。
私のなかで。
世界からのサインは、このようにして読み取るのです。
さて、
とても気分良く、
次なる場所、グランドキャニオンを目指そうと
勢い良く出発した私達。
しかし、
実はこの後、ものすごい怖い思いをすることに
…..
どんな時にも油断は禁物。
ほんの少しの心の隙間が、
命取りになることもある。
…….。
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