「コントラスト」
私が昔OLをしていた時のこと。
あの恐ろしい地下鉄の事件がありました。
その日私は、
いつものように怠け心の表れで寝坊していました。
なんとか頑張れば会社に間に合うような時間でしたが、
全く急ぐ気なし。休む気満々。
テレビをつけて(OL時代はミーハーなテレビっ子だった)、
朝ごはんを食べながら見ていたら、
そのうち事件の模様が映し出され、
あれれ?世間は大変なことになってるな、、、と。
じーっと見ていたら、すっかり会社が始まってる時間。
「すみませーん、事件で電車が止まってるので」と休む電話をしたら、
「時間、おかしいだろ、事件前に会社着いててもいいだろ?」
と課長に笑われたのですが、
もう今日は来なくていいよと言われたので、
その日は一日中、家でテレビを見てました。
もし、私が真面目なOLだとしたら、
もう今頃この世にはいなかったと思います。
なぜなら、
被害が一番ひどかった路線の、あの時刻のあの車両は、
私がいつも通勤で乗っている電車だったからです。
「いけない!寝坊した!」と飛び起きて、
慌てて支度していつもの電車に飛び乗ったら、
それは、死への旅の始まりとなったでしょう。
だからといって、私は皆さんに、
「怠けなさい、サボりなさい」と薦めているわけではなく、
人生、時には、
真面目に不真面目な道を歩いてみることもあっていいんじゃないかしら?
ということを伝えたいだけなのです。
きちんとしているだけでは見えない世界がある。
きちんとしているのが好きな人はいいんです、もちろん!そのままで。
でもあの時の私のように、
(どうにも真面目になれない)自分のほんとうに従って生きる時、
それが世間的に見て感心できないようなことだとしても、
その態度が、
我が身を助けることに繋がるということもあるから。
人間界の道徳だけで、すべてを決めつけなくていい。
無理に他の人の考えに合わせなくてもいい。
私は、
怠けた根性のままOLを10年やったけれど、
あの世界は保証もあって、
(よほどのことがない限り毎月お給料もらってボーナスも出る)
会社に守られていて、ある意味、楽な世界だったなあと思います。
写真家になって20年経つけれど、ここは保証の全くない世界。
おまけに、ちょっとの失敗が、すぐ致命的なことになる。
守ってくれる人はいないから、
すべて自分一人で責任を負わなければならない。
それでも、
私はここに辿り着けて良かったなあと、心から思います。
毎日大変でも、とっても楽しい。
自分には合ってる世界だと感じます。
OLと写真家。
両方を見ることで「選ぶ」という生き方もできたしね。
現在こうしていられるのも、
あの頃の私がダメ人間だったおかげ。
ダメな私が、ここまで運んでくれた。
過去のダメな自分に感謝しています!
今はね、
寝坊はしないし、ずる休みもしない。
ここまで来てようやく「あれはダメでしょー」と気づけたから。
現在の苦しくも楽しい世界が教えてくれたから。
でも、
シャッターを切る、その一瞬のためにいつでも力を溜めておきたいので、
だいたいのことは今でも怠けています。
だってねー、無理でしょう!
すべてを完璧にやろうとするなんて。
(そんなの人間じゃないよ)
私の場合は極端だと思うけど、
10個あるうち9個怠ける人は残り1個で10個分輝く!と思っています。
精神力も体力も、いざという時のために、
パワーコントロールしていくことが大切。
ここでエネルギーの全てを消費していいものかどうか。
あとどのくらいでチャージするべきかを見極めるなど。
私にとって一番大切なことはシャッターチャンスだから。
1個を10個分輝かせるために、たくさん怠けながら生きています。^^
私のまわりを見ていても、頑張る人ほど、お休み上手。
この世界の法則は、隠&陽。
コントラストが高いほど、きっと美しい。
おもしろいはずだから。
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