波乱のなかで掴んだもの

       夏野苺個展「天使のダンス」開催に際して
         力添えしてくれる仲間たちに
           深い感謝を捧げます
この個展は、前主催者の意志を引き継ぐものではありません。
日時も場所も個展タイトルもそのまま。
タイムラグがないので、ただの主催交替と思うかもしれないけれど、
それは違います。
私の意識は完全に変化しています。
ギャラリーAでという話をいただいて初めて会場を見た時、
私は唖然としました。写真を展示する場所がひとつもない部屋だったので。
まったくイメージが湧かず、私は再度和歌山へ飛びました。
ギャラリーDを観に。 今度は一発でイメージがきました。
ものの1分もしないうちに、ここでやるならこうだ、と決めることができました。
そこが私のフィールドだったからなのだと思います。
しかし主催者は、やはりAでいきたいと。
そこで私は決意したのです。よし、ならそれでやろう。
腹をくくってからは、
展示プランを確立させスタッフに指示を入れるまで比較的早い時間でできました。
そしてテストディスプレイの日に確信しました。
考え方ひとつ変えるだけで私にもこんな広い会場でこんな展示ができるんだなと。
大変勉強になりました。経験して本当によかったと思っています。
ただ。
それは、
「主催者の意向に添ってやるギャラリーAでの展示」
としてベストをつくせたということにすぎなくて、
夏野苺個人としては、ベストなものでは、けしてなかったのです。
あの広い会場でまったく気のすむような展示をするには、まだまだ予算が足りませんでした。
私としては、どこか中途半端なものでした。
主催者が、
どうして東京からわざわざプロカメラマンを呼んであのような広い会場を用意したか。
いったい何をやりたかったのか。
もうそれは誰にもわかりません。 彼女は途中でやめてしまったので。
彼女は自分をプロだと言い、
苺さんのようになりたいと言い、
強くなりたいと言い、
変わりたいと言い、
セラピストはやめて女優か表現者になりたいと言っていました。
今考えればどれもこれもめちゃくちゃですが、私は彼女を信じました。
直感が働き、和歌山での個展の話をいただいた時「イエス」と答えました。
心のプロと表現者のプロがぶつかって火花を散らしたら面白いなと感じて。
しかし、
展示準備のプロセスの中で、私は次第に彼女の中の「嘘」を見抜いていきました。
ここだ!という箇所がわかるのです。彼女の中で鈍い光を放つのです。
やっていることと言っていることがまったく違う…
私は徹底的にそこにコミットしていきました。
今まで
優しく彼女を包み込み、足りないところは補い、……
そんな仲間はたくさん周りにいたと思います。
でもそれではいつまでたってもなにも変わらないでしょう。
最初に彼女自身が
「私は自分が好き。このままで生きていきたいの。厳しいことは嫌い。苺さんも嫌い」
と言っていたなら、私は「イエス」も言わなかったと思うし何も始まらなかったと思います。
今回起ったことはとてもシンプルで、実に簡単なことです。
彼女はチャレンジしたのです。 そしてそれに失敗しました。 たったそれだけのことです。
今でも印象に残っているのは、
最後に電話で話をした時に「私から見たら四角いものが苺さんからは丸く見える」
と彼女が言っていたこと。
たとえば、円筒などを想像するとして、確かに真横から見れば四角に、
真上から見れば丸く… 同じものを見てもまったく違うように見える。
だったら、丸く見える場所まで彼女が移動したらよかったと思います。
なぜなら「苺さんのようになりたい」と言っていたのだから。
だから彼女と接している間中、私はずっと自分の世界から見えることを伝え続けてきました。
自分の言葉で。
それが時に、どんなに厳しく残酷な表現であっても。
その苦痛を「乗り越えて」欲しかった。
目をつぶってもう何も持たずジャンプして欲しかった。
変化するチャンスは、もうそこまできていたのだから。
彼女と出逢った意味はそこにしかないと確信していました。
私は最後まで自分自身であり続ける、それがこの出逢いでの私の役割だと感じていました。
おそらく一生で私ひとりかもしれないと思ったので。
彼女に対してこんなことができるのは。
今回、私のやり方をみて「攻撃している」「悪意がある」と言って
去っていった人がいます。
その人は最後、自分の身内の不幸をぶちまけて、
自分はこんなに辛い思いをしてきてるから弱い者の気持ちがわかる、
みたいなことを言ってきましたが、
どんな不幸話も、苦労話も、人に話してしまった時点でそれは自慢話になってしまいます。
「どうだ、こんな酷い経験したことないだろ、おまえにはわかるまい」という心が見える。
そこにこそ人間の悪意が潜んでいます。
自己憐憫に落ち入った人は苦手。
その人は、私が実の父親とどんな最期を迎えたかを知らない。
15年暮らした猫と、どんな別れ方をしたのかも、知らない。
私が「痛み」を知らない人間だと思ったら大間違いだ。
それともうひとつ。
自分がされてイヤなことは、けして同じことを他人にしない、
ということは大切なことだと思います。
同じ方法で「わからせよう」とするのは、その人自身の中の悪魔が暴れてるだけのこと。
だってそれはただの「仕返し」でしかないからね。
いま大切なのは、ここに残っている仲間たちです。
一度前主催者の個展を、わざわざ中止告知打ったのは
新しいスタートをきるにあたって、心のけじめをつけるためでした。
展示ギャラリーは「D」に変更します。
私は写真を撮る人間なので、個展をやるなら、まずは写真作品を観てもらいたい。
今後、ギャラリーAでテストしたような
風変わりなディスプレイでおもちゃ箱のような展示もしてみたいけれど、
今は私の撮った写真を多くの人に観ていただきたい。
それが一番の願いです。
Dでやると決めたとたん、心が広がりました。
やっと自分100%の世界に帰ってきた気分です。
残ったスタッフたちと、力を合わせて最後まで頑張ろうと思います。
主催者から一方的に「やめる」と短いメール一通もらった瞬間から
私の心は深海の暗闇に沈みました。
師匠と桜を見に行ったあの日、ロダンの「地獄の門」という作品の前で、
私も決意しました。「わかった。やめよう」と。
彼女がやめると言い出したのは、彼女だけの都合ではなく、もちろん私にだって
大きな責任があるのだから、共倒れして一緒に恥をかくのならそれも仕方ないと思って。
帰宅してからひいたカードは
「すべてを手放せ。それができれば物事は良い方向へ進む」というものでした。
よし、間違いない。そう思い、
覚悟を決めて、中止に向けての話し合いを進めました。
けれど、一点、心に曇りがあります。
個展をやりたい気持ちが消えません。
その時私は、自分の中にあるトリックに気がつきました。
主催者が降りる、ということと、個展が中止になることは別のことなんじゃないか?
主催してもらったものが中止決定になるのは受け入れても、
自分が個展を開きたいという思いは無理に消さなくてもいいのでは?
ちょうどこの時、ファンの方々からたくさん励ましのメールをいただきました。
信じてます
待っています
写真、見たいです
苺さんが好きです
祈っています
私がどんなに勇気づけられたか。 この言葉たちに。 この心たちに。
満月にやってきたガイダンスは、
“愛情とエネルギーを持って、作り上げてきたものを守り抜け。
 ゴール達成のためには仲間と協力する意志を持て。
 後方に注意しながら、事態を識別せよ。
 それができれば万事順調に進む。
 あなたが選んだ道はあなたにとって正しい。 
 天はあなたの使命を完全にサポートしている。”
….でした。
私は暗闇のなか。遥か前方がまったく見えない状況です。
足元を照らしてくれるよう、
チャミュエルに必死に祈りました。
大いなる導きを信じて、
少しずつでいいから、
一歩ずつでいいから、
とにかく前に進もうと思いました。
そして、やっと。 
自分の中にある小さな希望の光を、再びみつけることができました。
そんななか、ニューヨークにいるはずのあの、
私がもっとも尊敬しているサイキッカーが来日していて
会えることになりました。なんというタイミング!!!
私は自分の希望と答えを胸に抱えて、彼女に会いに行きました。
彼女からの言葉は、
「個展をやりなさい。必ず成功しますよ」
私はもうなんだか力が抜けて、ぽろぽろ涙がこぼれてしまいました。
主催者に「イエス」と言ったこと。
でも彼女との関係は壊れてしまったこと。
それによって離れていった人。
残った人。
ずっと応援してくれている人。
ひとりで個展をやることになったこと。
すべてが天の計画だったのだろうと思います。
大切なのは、なにが起きたか、ではなく。 そこで、  なにを、みたか。
最後、和歌山で集結できるのは、
本当の意味での
奇蹟や、愛情や、大いなるものの力を信じる者だけなのかもしれません…
一番大切なことは、いつだって「目には見えない」ものです。
私は、いつでも目に映ることだけを指差してどうこう騒ぐ人を信用しません。
前主催者との関係でも、私はいつでも
表面ではない、もっと深くの何か、にずっとフォーカスしていました。
彼女はそこを暴いて欲しかったのだと思いますが、
まだ準備ができていなかったのでしょうか。
悲鳴を上げて、逃げていってしまいました。
もういなくなってしまいました。
でも、
高野山を案内してもらった帰りの車の中、
西の空がいつまでも暮れないで、
ずっとぼんやり明るいままで、
それはまるで何かを暗示しているような、
星の王子様の世界に迷い込んだような、不思議な夕暮れ。
私達にとってあの時間は、いい時間だったと思うのです。
優しい想い出です。
いつか「那智の滝のような人になりたい」と言っていた彼女。
思えば私が最初に和歌山へ行ったのは2003年の5月。
那智の滝を訪れた時でした。
今回全ての難関を乗り越え、無事個展を成功させることができたら、
私が撮影した那智の滝の写真をプレゼントしようと思っていました。
1564.jpg

けれど道は分かれました。
それもよし。
これもよし。…です。
ここでお別れする人には、
明るく笑ってさようならを言いたいと思います。
みなさん、どうかお元気で!
夜明け前は一番暗い。
私にとって長く苦しい一週間でした。
しかし、暗闇はもはや私の背後です。
陽はすでに昇りました。
ふたたびの眩い陽光のなか。
天使のダンス
踊りにいらしてくださるのは、いったいどんな方たちでしょうか?
会場で御会いできるのを楽しみに待っています。
トークショーは、
ヘアメイクの島田万貴子も参加することになりました。
開運ワンポイントメイク口座などもやる予定!(笑)
もちろん来場者の中から抽選で、魔法のお茶プレゼントコーナーもあるよ!
お祭り気分でたくさんの人が来てくれたら嬉しい。
昨日一日で「ジャンヌダルク」という作品を創り直しました。今の心で。
前より、もっともっとよい作品になりました。
これからあと16日。
楽しんで苦しんで精一杯頑張って!苺ワールド100%をお届けするために!
心をこめて素晴らしい展示を目指します!
今日のエッセイは長くなったな。(笑)
最後まで読んでくださった全ての方に感謝を! ありがとう。
☆和歌山での個展まであと16日!
夏野苺 個展 『天使のダンス』 入場無料
2007年4/27~29 (10:00~21:00 最終日18:00まで)
※トークショー 4/28 (14:30~16:00 )
和歌の浦 「アート・キューブ」TEL 073-445-1188
http://www.jtw.zaq.ne.jp/cfcii405/
後援/ 和歌山エンジェルズ
☆トークショーでは来場者にプレゼントあり!
 応募者はDM希望とメールください。
 住所 氏名 「プレゼント希望」と明記のうえ、
 info@ichigo-natsuno.comまで御連絡を!
 トークショー当日会場にて抽選で10名様にプレゼントします。

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