夜の川

水の音。流れる音。
歩きながら聴いていたら、
あ　と思い出す。　大切なこと。
思い出して初めて気がついた。忘れていたのだということを。
それじゃあだめだ、全然。
うまくいくはずがない。なにもかも。
つくづく、私はダメな人間だなあと思う。
去年の夏頃の自分の顔写真を見た。
今よりずっと可愛かった。　あの頃の方がずっとずっと。
心が奇麗だった。
それなのにまわりの人はなぜみんな今の方がいいと言うんだろう？
いったいなにを、どこをさして、そんな。
たぶん、
一瞬の落ち込みにいるんだ、あたしだけ。
だって、
未来は今よりずっといいはずだもの。
人生、いつでもそうだった。
だからきっと、これからだって。
そうに違いない。
「昔の方がよかった」なんてことはただの一度もなかったんだから。
（小さな意味ではあったとしても、大きな意味では）
今はじっと立ち止まる時期かもしれないけれど、
その時がきたら、
とにかく先を急ごう。　心を前へ、前へ。
ここではないどこか遠くへ。
できるだけ遠くへ。
逃げるように、
進もう。
その時がきたら。