北の贈り物
今回の北海道。
登別近くの白老町という場所から入って、
小樽へ移動。 そのあと札幌へ。
丘珠空港から中標津空港へ飛んで、最後は養老牛温泉から女満別。
5泊6日の北の旅でした。
桜がちょうど咲き始めたあたりで、
撮影しながら移動しつつ、北国の遅い春を眺めることができました。
初めての雑誌、初めてのスタッフ、
私は緊張しつつ現場へ入りましたが、とても仕事しやすかったです。
プロはいいなあと、こんな時いつも感じます。
ぴたっぴたっとキマる、あの感じ。 大好きなのです。
最初はこの雑誌が求める感覚がよく飲み込めず、どこを切り取ったらいいか
戸惑うこともありましたが、2日、3日と過ぎていくうちそれも掴めてきて、
最後の方は、自分の撮りたいものを自由に撮りながら仕事することができました。
巻頭の20ページをまかされるのも初めて!
最初10ページと思い込んでいましたが、実はその倍でした。
打ち合わせの時にちゃんと聞いてなかったんだろうか?
ロケの途中でそれを知って、ひとり密かにビビる私。(笑)
風があっては、けして撮れない場面があって。
その時私は初めて意識的に「魔法」を使いました。
そうか。
だから自分は魔術を学んでいるのか!
ということが本当にわかった瞬間でした。
私は、
直接他者のために魔法を使うことは、この先もないだろうと思います。
自分のためだけに、自分のシャッターチャンスのためだけに、
その術を使うのだ、と。
できあがった写真を見た人に
間接的に魔法をかけることはあるかもしれないけれど。
風が止まった瞬間のことは、一生忘れません。
こうして私はいろんなことを覚えていくんだなと思います。
実際に、使って。 試しながら。 魔法というものを。
最初の宿のとなりにある喫茶店でフクロウのランプに遇いました。
一刀彫りといわれるそれは一本の木をくり抜いて創られたもので、
なんとも可愛らしいのです!
聞けば売り物ではないとのこと… でも!
併設しているギャラリーショップで、
同じ作者が創った半分くらいの大きさのものがあるらしい。
ということでスタッフ全員で見に行きました。
あった。 あった。 かわいーやんけ~!!!
一晩考えた結果、東京へ連れて帰ることにしました。
ここで私は直感。 今回の旅のナビゲーターはフクロウなんだな、と。
結局その後、まさにその通りの旅となりました。
フクロウはありとあらゆる場所に現れ、
最後の方は編集者が「あ、またフクロウ」「ここにもフクロウ!」と
すっかり驚くことに。(笑)
もう仕事だろうとなんだろうと、
自分の行く手はすべてスピリチュアルな学びの場になるのだと、
実感しました。
そういう扉を開けてしまったのだから。 進むしかない。
それでも、やはりびっくり感激してしまったのは、
最後のひと晩。
創りもののフクロウではなく、本物のフクロウが目の前に現れたこと。
宿にシマフクロウが降りてきました。 体長が1メートルほどもあります。
旅館のスタッフがみんな興奮していて、
それで今これは珍しいことが起っているんだなということがわかりました。
最初シマフクロウは、高い木のてっぺんに現れました。
私は心のなかで自分の魔女名を名乗りながら、感謝の祈りを捧げました。
つがいのフクロウは、とても強いエネルギーを送ってきます。
ホゥー… ホゥー… という鳴き声が森中に響きます。
すごい!すごいです! フクロウの声! あの深い響き。
一度聞いたら忘れられない! 世界に魔法をかける、あの声を!
真っ暗な中、遠くの被写体を望遠で撮ることの難しさ。ピントがまったく見えない。
私は自然を撮る専門家ではないので、こんな時どうしたらいいのかわからない。
持っている知識だけで、あとはヴェロニカに助けを求めました。
14、5回シャッターをきって、奇跡的にたった1枚だけ、
まっすぐこちらを見ているフクロウを写すことができました。
(持って帰ってきて見せた時、それは師匠も唸るほどの一枚でした)
その後、なんとフクロウは、庭先まで降りてきたのです。
食事ができるフロアは一面ガラス張りになっているので、
電気を消してもらって、真っ暗な中での変わった(笑)夕食となりましたが、
フクロウの様子がよく見えました。
宿の御主人が言ってましたが、ここまで降りてくるのは本当に珍しいことだそうです。
途中、キタキツネがフクロウに襲い掛かる場面を見ました。
フクロウが池の魚を捕る瞬間も、見ました。
それは、魔女としての私にとって、貴重な場面でした。 生きた教科書でした。
ここで言葉で説明はできないのですが、いったい「なにを」みせられてるのか、
私はとてもよく理解できました。
そして、最終日。 私は、
神の子池へ行くことができました。 再びの出逢いです。
その姿は去年の夏とは少し違っていて、今冬の眠りから覚めたばかりというような
ぼんやりしたものでした。 でもあの蒼は、そのまま。
まわりはふきのとうや水芭蕉がたくさん! 春がきたばかりの神の子池。
雪がまだいっぱい残っていました。
仕事の途中、取材した人のつながりで
中標津に「ひと月2万でいいよ」という山小屋をみつけました。
赤い可愛い山小屋。
車も一緒に貸してくれるらしいから、
人形を集中して創りたい時に、しばらくこもるための場所にしようと決めました。
こんなふうに、いろんな助けや奇蹟はやってきます。
あらゆる方向から。 自分の思わぬ方法で。 世界は広く大きいのです。
何か願望を実現させようとする時、やはりあたまで考えてはダメだなと思います。
さらなる認識を与えるために、北の神様はたくさんの贈り物を私にくださいました。
今回の旅で出逢った数々のこと、
胸の真ん中に宝ものとしてしっかり抱えながら、このまま進んでゆこうと思います。
雑誌は、7月のあたまあたりの発売です。
発売日が決定したら、このエッセイでお知らせしますね。
みなさん、どうぞお楽しみに。
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