北の旅2006 3
朝早く三人で出発。
阿寒湖の先、オンネト-(湖)を目指す。
途中の峠道を思い浮かべて、心暗く、打ち沈む…
雪があったらどうしよう。 怖い。
神の子池へ向かう清里峠より、
さらにヘアピンカーブの多い峠なので、
雪なんかあった日にゃ、まったく洒落にならんぞ….
と、ぶつぶつ心の中で心配していたら、
すっかり除雪してありましたー!
わーい。
とーっても嬉しい晴れやかな気分になる。 よかった。
オンネトーは、深い翡翠色をしていた。
ここもまた、不思議な場所。
前回訪れた時に、
「もしまた来ることがあったら、
湖のまわりの森の奥深くまで行こう」
と決めていたけど、
なんとなくそれはやめる。
なんとなく。
やめたい気分になったので。
きっと“ひとり”で行くべき場所なんだろう。
湖のほとりで、三人で
持ってきたパンを食べたり、写真を撮ったりして、
しばらく過ごす。
次に、いよいよアイヌコタンへ。
オフシーズンの北海道。
観光地もひっそりしていた。
私達の他には、まったくといっていいほど人がいない。
閉まってるお店もいくつかあった。
でもその日目指すお店は開いていた。
マスターに教えてもらった2件とも。
けれど目的の人には、今回は会えなかった。
別に「どうしても」と感じていたわけではなかったので、
この流れで納得する。
また来よう。 縁があればいつか会えるだろう。
みんなでそれぞれに気に入ったお店で木彫りの人形などを買い、
「宇宙人」という喫茶店で珈琲を飲んだ。
ちらりと阿寒湖を見て、
さてこれからまたまた川湯温泉へ行き、足湯につかろう!
と出発したけど、しゃべりながら運転していたら、超びっくり。
なんと釧路付近まで走ってしまいましたー(笑)
「釧路空港 9km」という標識を見て、
ハッと間違いに気づいた。
ずいぶん長く走ったもんだ…
いつまでたっても峠に出ないので、おかしいなあ、と思ったら
こんなことになってました。
でも。
旅ではこんなことも大切。 いえ、たぶん、日常でも。
私はいつでも「最短距離」を目指したい。
なぜなら命は有限だから。
でも、人生を生きていくうちに、
「いっけん遠回りなように見えて、実はそれが一番の近道」
ということがあることを知った。
心がしっかりと確実に「最短距離」を目指している以上、
迷い道も逆走も、遠回りではない。
必要な、なにか、だ。
私は、
この「なにか」を、大切にしたい。
今この時はわからなくても、後になってから必ずわかる。
なぜ、あの時、その道を、走ったのか。
すべては大切な、人生の「時間調整」なのだ。
私は、地図を見て、どこへでも間違いなく行ける人を尊敬する。
それは立派なひとつの才能だと思うから。
私は、地図は読めないし、道をしっかり覚えるという力もない。
けれど、
目的地へとうとう辿り着けなかったということは、
ただの一度もない。
地図を頼りにせず、どこへでも行ける力というのは、
今行っている「ある訓練」によってますます強化されていく。
私の旅の目的は、この力を磨くこと。
今回、それを「自覚」した…. はっきり意識したのは、初めて。
そしてこれは、
旅の仲間には、しっかりと伝えなければならないということも
わかった。
直感で思うまま進みたい私にとっては、
「えっ!なぜそっち?」とか
「引き返して」とか言われることが、大きなストレスとなったから。
もちろん彼は親切に、自分の思うことを言っているだけなんだけど。
それとこれとは、まったく別なことだ。
助手席のたかちゃんとは対照的に、
どんな時でも黙ってリヤシートにいたたけしは
凄いと思う。
運転しているのは自分じゃないことを、知っているのだ。
心のなかではきっと様々なことを感じていたと思うけど、
私が進む方向に何か言ってきたことは、一度もなかった。
旅は、
その人の生き方がそのまま表れる。
みんな個性的で、面白いと感じる。
いろんな人と旅をしてみて、
いろんなことがわかってくる。
自分のことも、よく見えてくる。
何が許せて、何は譲れないか、ということも。
ひとりで旅をすれば、自由気ままに、どこで何をしても気楽でいい。
でもそれだけじゃない。
人と旅することで確かに見えてくることは、
宝になると思う。
生きていくうえで、必ず役にたつ日がやってくるはず。
道を間違えて、そうこうしているうちに日はとっぷり暮れてしまい、
真っ暗な峠道を運転するのは、これまた大変怖く、経験値がばばん!と上がり、
山を降りた時には、少し自分がたくましくなって(笑)いるように感じたほど。
もうお腹がぺこぺこ。
ガソリンスタンドで給油した時、たけしがみつけてきたチラシのラーメン屋が
近くにあることを知り、わーい!と食べに行く。
弟子屈、という場所。
死ぬほど美味しいラーメンで、
道を間違わなければこれを食べることはなかったなあ、と
ひとり心のなかでしみじみする。
すべては繋がっている。
夜、
ある話題で、たけしが最高に面白いことを言って、
もう内臓が全部口から飛び出るかと思うほど大笑いした。
あの大笑いな夜は、ずっと忘れないな。(笑)
ものすごい楽しかった。
山小屋での夜。
翌日は、知床斜里から単線電車に乗って、
オホーツク海沿いに、北浜という駅まで行った。
そこでランチをして、また電車で斜里駅まで戻り、
昨日夜に行けなかった川湯温泉駅をふたたび目指した。
三人で足湯につかっていたら、そこへ女の子4人組が入って来て、
それを見たたけしが「いらっしゃいませ」と声をかけた。
女の子たち、笑うかと思ったら誰も笑わなかったので、
それが余計可笑しくて私は自分の笑いを堪えるのが大変だった。(笑)
たけしのバカっぷりは大天才!
川湯温泉駅の駅舎カフェでは、名物のビーフシチューを食べた。
また、あの激ウマプリンも。
その後、お風呂に入って行こうよ~!ということになり、
マスターに教えてもらった町の共同浴場に行った。
硫黄の温泉で、気持ち良かった。
鄙びた感じがたまらなく。
けれど
私の気分が楽しかったのは、ここまで。
ロッジに帰ってから、
その日まで私がたてかえていた分の精算をお願いしたら
「もうお金なくなっちゃった」と、たかぼう。
しかもふざけた口調で。
………。 じゃ、どーすんのさ?
大人なんだから。 みんなで旅してんだから。
それならそうと無くなる前に「貸してください」とちゃんと言えよ、と思う。
こういうところで怒る私が悪いんだろうか?
もしそうだとしても、悪くてけっこう!
これは見逃せない。
人として、大切に感じることがあまりにも違いすぎる。
私も大金を持って来てるわけではないので、困った。
お土産を買って行きたい人がたくさんいるのに……..
もう悲しくなって、
その夜はさっさと布団に入った。
心のなかでいつまでもひとりでぶつぶつ怒っていたら、
「お土産を買いに来たの?」
…………と、虹色の声。
…いや。 違うけど。
そーだ。 そういうわけじゃないな。(笑)
「明日、空港でいいものがみつかるわ」
…………と、ふたたび虹色の声。
確かに、翌日
ひと足先に帰るたけしを空港に送って行った時、
「いいもの」をみつけた!
ある人から教えてもらっていた「標津羊羹」(笑)
それの、小さな詰め合わせがあった。
可愛いし、荷物にならないし、これならどうしても買って行きたい人の分だけは
なんとかなりそう。 やったー。(喜)
たけしを見送った後ウトロまで行き、
光り苔洞窟という場所を見に行った。
もう苔が光る季節じゃないらしく、しょぼい印象だったけど、
洞窟の迫力は凄かった。
洞窟…..
そうだ、いつか、鍾乳洞探検とかしたいな。 とても怖そう!
そこから車で戻りがてら、野付半島まで行った。
着いた時には真っ暗。
海の向こうに根室半島の明かりが小さく見えた。
夜は、川北温泉に行った。
野天風呂。
国道から、真っ暗な山道を車でさらに5キロも登って行く…
途中また雪があって、超びびる。
しかし、着いたらもっとびびる。
だってこんな看板が。↓(爆)
やめろよ~こんなとこに風呂場つくるの、と思う。(笑)
電気もなにもない。 まっくらやみ。
でもしばらくしたら目が慣れてきて、
う~っすら樹とか山とか空とか見えてきた。
曇りで、星は無し。
月も、無し。
これで北の旅はおしまい。
今回は、何かがぐぐっと進化した。
自分の内面がパワーアップした手ごたえがある。
どこが?
と思い巡らせた時、あそこと、あそこと、…
みたいな感じで、数カ所思い出される場面があるけれど。
旅はいつでもエキサイティング。
私はこれからも旅を続けたい。
あの人とも、この人とも、旅をしたい人がいる。
そしてまた、ひとり旅もしたいな。
つか、人生はひとり旅、だけどね。
みんな、みんな。
中標津空港を離陸する時、
「天使の梯子」がかかった。
羽田空港に着陸した時、
やっぱりここにも「天使の梯子」が。
だいじょうぶ。だいじょうぶ。すべては順調。
私はサインを見逃さない。 けして、けして。
見逃さない。
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