フランスの旅その2〜満月〜

今回の旅の一番の目的はモンサンミッシェルへ行くことでした。
いつの頃からだったでしょうか。行きたいと思い始めたのは。
実は覚えてないのです。
「もうずっと前から」としか。
世界には数カ所、大天使ミカエルが降臨したとされる場所があり、
モンサンミッシェルはそのうちの特に有名なみっつの場所のひとつです。
2006年に行ったローマにサンタンジェロ城というのがあって、
ここにも行きましたがお城の中までは入りませんでした。
(この時はガブリエルに注目していた時期なのです)
ひょっとしたら、
もうあの時からミカエルは呼んでいてくれたのかもしれないと、
今はそう感じます。
あと一カ所、イギリスのグラストンベリーへ行ければ、
私は世界三大ミカエル降臨の場所へ行けたことになります。
(きっとゼッタイ行くと思います。
 ローマへももう一度行って今度はお城の中に入ってみたい)
バスの中ですっかり大感激してしまった私でしたが。
いざモンサンミッシェルに到着してみると……
すごい人です!
イメージは、江ノ島の初詣。
(行ったことないけど。たぶんこんなふうに混んでるでしょ。と思って)
なるほど。噂に聞いた通りでした。
去年行ったという人が「観光地っぽくてそんなに感慨深い場所ではなかった」
というようなことを言っていたのです。
私はそれを聴いた一瞬はひどくがっかりしたのですが、
すぐに後から「じゃ人が居ない時に行けばいいんだ!」と思いついたのです。
あれはとてもラッキーな一瞬でした。
きっとあの話を聞かなければ私も普通のパリからの日帰りツアーで
計画を立てていたと思うからです。
みなさん、
もしこれからモンサンミッシェルへ行こうと思われる方がいらっしゃったら、
私は絶対に島内一泊観光をおすすめいたします。
一番混んでいる時間帯にほんの数時間見学するのと、
一泊して誰も居なくなった島の道をひとりでぐるぐる散歩するのとでは、
同じ場所へ行ったとしてもその体験が全く違ってくるからです。
去年ドイツを旅した時のことを思い出しました。
私は魔女ゆかりの地を訪ねるルートを考えて自分で行程を組んだのですが、
そのスタート地にゴスラーを選びました。
街全体が中世のまま残って、世界遺産に指定された場所ということで
とても楽しみにしていたのですが着いてびっくり。
日曜日の原宿。賑わう竹下通り状態でした。
中世の面影など何処にも感じられず…….
人の気ってスゴイなと思います。(良くも悪くも)
たくさん集まると何もかもを染めてしまうパワーを持つんだなあと。
だから観光客が消えた時間帯に外を歩いてみようと思い立ち、
夜遅くと早朝に散歩に出ました。
思った通り、その時見たゴスラーの顔は全く違っていました。
モンサンミッシェルもそうに違いないと思って出かけていったので、
着いた時の衝撃を楽しく受け止めることができてよかったです。
この賑わう感じもいいなあと。
(世界の観光地ってこれはこれで盛り上がるものです)
パリからの日帰りツアーでは、ほんの3時間ほどしか島に滞在できず、
そのうち半分くらいは修道院見学の時間に取られるので、
(日本語ガイド付きがほとんど)
自由に歩ける時間は全く無いと言ってもいいほどです。
滞在時間には、島とシャトルバス発着所までの往復徒歩時間等も含まれるので。
世界遺産をただ見れればいい。
修道院の内部を見学できればもう充分だという人には、
日帰りツアーは便利で簡単なのでとてもいいと思いますが、
私のように特別な想いを抱えて行こうとする人は、
絶対に島に一泊とどまるべきです。
(どうかこの情報が、これから行く人にとって有益なものとなりますように)
島はとても小さいのです。
一時間も歩いたらぐるりと一周できてしまうほどです。
網の目のように階段や路地がたくさんあって、
そのどれもが素敵な風景を見せてくれて、
そして見上げれば何処からでも天辺に大天使ミカエルの像が見えるのです。
ミカエルの顔が見える。(正面)
ミカエルの剣が見える。(横)
ミカエルの羽が見える。(後)
これにより自分が島のどの位置に居るのかを確認できます。
時間ごとに響き渡る鐘の音も忘れられません。
素晴らしい音でした。
日帰りツアーの観光客が引けた時間帯は、
どこを歩いていてもほとんど人には出会いません。
特に夜と早朝は、島に私ひとりしかいないのでは?と思うくらいでした。
時折鳴る鐘の音と、風に揺れる樹々の音、鳥の声、波音、
それだけが聴こえてくる、静かな時間が過ぎてゆきます。
モンサンミッシェル。素晴らしいです。
夜、レストランで名物料理のオムレツを食べました。
これに関してはとてもたくさんの人から「まずい」と聞かされていました。
味が薄いから塩とか持って行くのがいいよ、とか。
実際に食べてみて「なるほど」とわかったことがあります。
これはパリでの食事でも感じたことでしたが、
まずいわけでも味が薄いわけでもないのだと思います。
素材の味を楽しむ、これがフランス流なのではないかと。
だからオムレツも「卵の味を楽しむ」という食べ方なのだろうと思いました。
日本の食事だと、調味料そのものの味を「あじ」だと認識しているけれど、
ここでは素材の持ってる味が「あじ」なんだなと。
人にはそれぞれ違った感じ方考え方があると思うけれど、
私はこう感じたわけです。
だから美味しかったのです。何を食べても。
薄味が好きで、
素材の味を楽しむ食習慣がもともとあったので、
フランスの食事の「あじ」はとても私の口に合いました。
私が泊まったホテルはとても可愛らしいホテルで、
ベランダや部屋の窓からもミカエルを見上げることができました。
修道院へはお金を払って入ります。
(ツアーの場合は参加費に含まれている)
なので、夜間は閉まっています。
修道院の中で一番好きだった場所は、食事をする場所です。
それから、回廊。
ここの中庭は修道僧が皆それぞれひとりになって瞑想する場所だそうです。
私が泊まった晩は満月でした。
ライトアップされ魔法の國のお城のようになったモンサンミッシェルを撮影していたら、
東の空に月を発見。
少し曇っていましたが、顔を見せてくれました!
真夜中、ベランダに出ると、満月にまあるく虹の輪が。
きれいだった…..
島の中で一番好きだった場所は、
入り口にジャンヌ•ダルクの像がある小さな教会です。
夜明けの散歩の時はまだ開いてませんでしたが、
朝ご飯を食べた後に見たらドアが開いてました。
中には大きなミカエルの像とマリア像が。
ここのお供えのロウソクは虹色をしていました。
陽が昇る頃、
島の外へ出てみました。
朝焼けの中、太陽に照らされて真っ赤に燃えるモンサンミッシェル。
すてきでしたー
かっこよかった。
ふと見ると、西の空に沈みゆく満月!またしても雲間から登場!!
私どーしても満月とモンサンミッシェルのツーショットを撮りたかったのですが、
願いが叶いました!!
大感激です。
(方角の関係で、昇り始めの月とのツーショットは難しかったから)
満月と大天使ミカエル。
私の中で特別な想いがあったのですが、
これで一枚、完璧なる「護符」が完成しました。
(この時のショットは大阪の個展での大目玉作品にしよう!素敵な額にセットしました)
旅の間、ずっと感じ続けていたことは、
「これは私ひとりだけのことではない。たくさんの誰かの為の旅なのだ。
 いま歩いているのは、私たったひとりだとしても」という想いでした。
言葉では表し尽くせません。
でも確かに。受け取ってきたものがあります。
モンサンミッシェル二日目。
島にまた沢山の観光客が戻ってくる時間がやってきました。
神秘は消え去り、昨日私が到着した時と同じ顔になりました。
私も観光客になろう!
皆の輪の中に入って!
というわけで、人で溢れ返る参道にあるお土産物屋さんの全てに
一軒ずつぜーんぶ入りました。
その中でハッとするミカエル像をみつけました☆
見た瞬間すぐにミカエルとわかりましたが、
どうだろう?普通の人はわからないかも。
だってコレなんだか漫画のようなミカエルです。
こんなふうにミカエルを表現する人ってスゴイ!と大感激で買いました。
やー、でも見れば見るほど不思議な像だな〜
(いま大阪に持って行こうかどうか迷いちゅう。いろんな人に見せたいし。
 縁ある人たちに触ってもらった方がいいような気がする…..)
ランチは、小さなビストロに入りました。
クレープとオニオングラタンスープとプレートご飯を食べました。
すごく美味しかった!ので、ぜひまた行きたい。
二日目も島の中で夕方まで、
こんなふうに色々と一日ゆっくり過ごすことができました。
初めてのモンサンミッシェル。
生きている間にあと何回行けるかな。
ホテルをチェックアウトして外に出た瞬間、
空から無数の羽根が粉雪のように舞い降りてきました。
私はもうただただびっくりしてしまって。
胸が熱くなって。
涙をこぼしながら拾えるだけ拾いました。
そうですよ。きっと空を飛んでいた鳥の羽根なのです。
でも、
……………..。
ここは神秘の島です。
私は、この羽根を、
ご縁ある人たちに渡していくことになるだろうと思います。
IMG_0128.jpg
帰りのバスの中。
どんどん島が小さくなってゆきます。
来た時と同じくらいに。
空に大きな天使の梯子。

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