ドイツの列車ひとり旅 その6
一人旅五日目。
日帰りでターレへ。
このあたりから私の心はますます無口に。
ターレはクヴェトリンブルグから列車で10分くらいのところ。
終着駅です。
なので安心。近いし。寝てても着く。笑
着いて一番最初に目についたのは、街の教会でした。
では、と、
まず礼拝堂で朝のお祈り。
今日私がここで、見るべきものを見て、聞くべきことを聞いて、
知るべきものを知り、学ぶべきことを学ぶことができるように。
行くべき場所に行き、会うべき人に会えるように、と。
ターレは、ふたつの大きな山が左右にあって、
ひとつはチェアリフトで。
もうひとつはゴンドラで頂上まで行けます。
もちろん登山道もあります。
今回歩くかどうするか、直前までかなり迷いましたが、
慣れない土地での一人旅、自分のチカラを過信せず行こうと思い、
ここもブロッケンも登山はやめました。
でもたぶん、ターレはちょうど高尾山くらいだなあと思いました。
見た瞬間、少し後悔。
もっと朝早く起きて出かけて来ていれば、ゆっくり歩いて登れたかもって。
まあ後悔先に立たずが世の常、ということで。
しかし。
さらに残念なお知らせひとつ。
ゴンドラは本日休止とな。
風が強くて。
はー。
激しくがっくり。
なぜかというとゴンドラで行く場所の方に強く興味があったからです。
(魔女の踊り場と呼ばれる伝説の場所)
そこに行けないことが判明しました。
先ほどよりさらに深く後悔。
やっぱりもっと早起きして来るべきだった。
そうすれば登山という手段があったのに。
なぜあんなに高尾山へよく通っていたのか。
あれはこの時のための訓練だったのではないかしら。
ここでハッと思い出したことが!
そういえば、ここの州のキャッチフレーズは
「私たちは早起きです」
じゃなかったっけ?
そうだ、そうだよ。
もうあれが大きなサインだった。
そんなキャッチフレーズの場所を訪れるのに、
朝の10時頃ノコノコ出かけて来ちゃダメなんだよー。
はー。
なんのためにあんなに何度も早朝MJしてたのか。
このためだったんじゃないのかー。
さらにさらに深く深く後悔。
サインを受け取れなかった私。
反省してもしきれない。
心の中に広がる苦い味。
物事は全て繋がっている。
一つの出来事を全体から切り離して、
頭の中だけで考えたり組み立てようとしたりしても
なんの解決にもなりゃしない。
起こる問題はそのことだけではなく、常に全体の一部として存在していることを
けして忘れてはならない。……のだと思う。
果てしなくがっくりちゃんな私ですが。
そうはいっても進まなくてはならないのです。
ここで肩を落として立ち止まっているわけにはいかないのです。
動かなきゃ。
動けば物事はどんどん変化していくから。
とにかくまずはリフトです。
ひとりで乗って、てっぺんへ。
また風ー。岩ー。
もうわかったよー。
魔女の山は岩山の風の山ー。厳しくぴーぷーの世界です!
実は私はここでもダウンを着込んでいました。
それでちょうどいいくらいの気温です。
(ブロッケンは着てもまだ寒かった!)
ターレへ来て一番に感じたこと。
それは、
ここの谷は高千穂峡にそっくり。
山は妙義山にそっくり。
ということ。
軽井沢の「アリスの丘」へ初めて行く高速の途中で妙義山を見た瞬間、
「わあ!魔女のかぎ山!」と叫けんだ私。
どうしてそう思ったのか。
まあ勝手なイメージだけで思わずそう叫んだんだろうくらいに思ってたけど。
いやー、
そっくりです!ここ。まずそのことに一番驚きました。
そして妙義山もやっぱり魔女の山なんですよ、きっと。
世界の他の場所にもいっぱいあるんですよ、たぶんね。
そういうもんなんだ….. そう直感しました。強く。
だって、遠く彼方に見えるもうひとつの山の途中に、
ザイオン国立公園で見たエンジェルランディングも発見しました。
そっくりそっくりそっくり。そっくりすぎます。
というか、全く同じですと言っていいでしょう!
岩山の風ぴーぷーの世界で、
大興奮しすぎてどんどん心が無口になってゆく私なのでした。
宇宙のパズルを解いているような感覚。
ああ、けれどあの向こうの山へは今日は行けないのです。
遠くドイツまで来て。
いったいこんな残念なことってあるでしょうか!
気がつくと私は自分に言い訳をし始めていました。
これはきっとまたすぐ来なさいというサインだわ、とか。なんとか。
でもそんなふうに思ったところでさっぱり気が晴れません。
そうです、こんなことって、自分を誤摩化しているだけです。
本当の私は今悔しいのです。
目的を果たせない自分が許せないのです。
やれることはまだまだいっぱいあったのにそれを怠った自分が嫌いなのです。
無意味なポジティブシンキングはこんな時何のチカラも生みません。
岩山のてっぺん。
風にぼーぼー吹かれながら。
悔し涙が頬を伝いました。
誰の責任でもありません。
これは一人旅なのです。
全部自分の責任です。
そうです。
自分の責任は自分で取るしかありません。
自分をただ責めるのではなく。
こんな時一番大切なことは、
自分のしたことをそのまま丸ごと受け入れるということです。
善悪や正誤で判断しない。
そんなことはそこだけ一点見たってわからない。
物事は全て繋がっているのですから。
私は自分のありのままを認めることにしました。
少し離れた岩の上に十字架が見えます。
こんな切り立った場所に!
誰が立てたのでしょう。
魔女伝説の山に、天使の印。
魔法と。天使。
強い風に吹かれながら祈りました。
天使よ ごめんなさい
私は失敗しました
すこしなまけてしまいました
もっとじぶんのちからをつかえるはずでした
でもそうしませんでした
そのためにきぼうしていたことがひとつかないませんでした
そのことをとてもざんねんにおもいます
くやしくて くるしいです
ごめんなさい
わたしはまちがえてしまいました
どうかこのできごとが
このさきのわたしとうちゅうのためになるよう
おみちびきください
それからおまじないをひとつ。
物事を反転させるおなじないです。
マイナスを、プラスに。
お腹が空いたので、持ってきたおやつを食べました。
向こうの山のてっぺんが見えます。
魔女の踊り場ってどのあたりなんだろう?
ゴンドラは止まったままです。
はー。
食べ終わったら、また涙が出てきました。
さっきよりたくさん泣きました。
どうしようか。
今から登ろうか。
でももう午後1時をまわっています。
登って、下りて。
高尾山と同じくらいだとして。
4~5時間はかかるだろうな。
できないことはないだろうけれど。
自信が無いなあ。
と、泣きながらくよくよ考える、弱く小さな私。
かっこ悪すぎてごめんなさいです。
そんな時、服のポケットに、
AGメンバーがくれた情報をプリントアウトした紙があるのを思い出しました。
取り出して読んでみました。
ゴンドラに乗らないで、登山道を行く方法が書いてあります。
よし。
私は決めました。
自分のことは自分で責任取ります。
登ろう。
朝早くこの場所へ到着するよう計画しなかった自分が悪いのです。
どんな登山道かわからないけれど、ゆっくり行こう。
ヨーローッパの夜は遅いから。
20時過ぎまで明るいから。
それまでには下りてくれば大丈夫だろう。
だけどもし登山道の入り口まで行った時の感覚で、
無理かなと少しでも感じたら今日は潔く諦めて帰ろう!
どうなっても自分のしたことの結果として受け入れよう!
これが今の私なんだ。
だからもう泣かない。
しくしくめそめそよわよわタイムはこれでおしまいだ!
そうと決まったら急いでリフトで麓まで戻ることに。
上る時は背中なので気づかなかったけれど、
下りる時、ちょうど正面に朝一番に行った教会の塔が見えました。
まっすぐ目の前です。
なんだかお礼を言いたくなったので、声に出してありがとうと言いました。
リフトを降りて、ゴンドラ乗り場の下を歩いて通過する時、
止まったまま風に吹かれてゆらゆら揺れているのをうらめしく眺めながら、
一枚写真を撮り、(乗れなかった記念と思って)
沢沿いの遊歩道を歩きながら森の中へ入って行きました。
水の音が気持ちいい。
途中ものすごい気になる穴がありました。
一瞬怖かったけれど。
中に入ってみたくなったので、思い切って入ってみました。
ほこらのようになってる。
まっくらな中で、
まほうのかみさま ここまでおまねきくださりありがとうございます
と唱えました。
それから外へ出て。
さらに進みます。
プリントのガイドによると、まもなく川を渡る小さな橋があって、
そこにレストランがあるはず。
その横の目立たない場所がショートカットの登山道の入り口になってるらしい。
そこまで行って、全てを決めよう。
どんなふうになってももう後悔はしない。受け入れよう。
そのことばかり呪文のように心の中で唱えながら歩き進み、ふと空を見上げた、
そのとき、
私の目にゴンドラが運行している光景が映りました。
あのときのきもち
ごめんなさい。言葉にできません。
ただ、
世界は美しいです。
全て繋がっています。
こんなふうに、希望が叶うこともあるのです。
もし全体が見えるとしたら、宇宙はどんな素晴らしいカタチをしているのでしょうね。
さっきとは種類も意味も違う涙を止めどなく流しながら私は走り戻りました。
ゴンドラ乗り場へ!
身体中にパワーがみなぎっています。ラブパワーです!全開です!
橋の上からゴンドラ乗り場に到着するまで、
何千回ありがとうを言ったでしょうか。
ありがとう
ありがとう
ありがとうって、走り続けました。
きゃー。
ゴンドラ乗り場に着きましたよ!
確かに!動いてるちゃーん☆
ところがですね、乗ったはいいけど、風おさまってないー。
すごいです。
ものすごいこわさです。
私はここでかなり寿命が縮んだと思います!
今これを読んでいる皆さん、想像してみてください。
深い谷間を強風にあおられ大きく横揺れしながら進むゴンドラを!
それに乗っている私をぉおおおー!
ひゃー☆☆☆
ふたりのおばあさん&私の三人、頂上に着くまで何度叫び合ったことか。
(でもあのおふたり…..ちょっと魔女っぽかった、雰囲気が)
それでも念願叶って無事着きました。
うれしい。
ゴンドラ降りて歩いて「魔女の踊り場」へ。
でもそこは、全く神秘的な場所なんかじゃなく、子供達の遊び場天国。
悪魔の像とかあるんですけど。
子供に乗られ頭押さえられ、耳にナップザックかけられたり。台無しです。(笑)
だけどそのことが。
怖い伝説のある場所が今は人々の憩いの場という表情をしているということが、
なんだかすごくよかったと思いました。
ここもきっと。
誰もいない時間帯に来ると違った「本当の顔」を見せるのかもしれないけれど。
こんなふうに賑やかなのは、中心部のごく小さな範囲だけで、
ちょっとまわりの林の中へ入り込むと、やっぱり人影は無く、
私が好きだと感じる所ではほとんど誰にも出会いませんでした。
本当のパワースポットは、ここでもひっそりしたものでした。
あ。それでも数回、ゴンドラに乗り合わせたおばあさん達とはすれ違いました!
ふふ。
きっと私のように、人がたくさん集まる場所にはあまり興味が無く、
うろうろ山の中を散歩してたんですねー。
岸壁に立ってみました。
ここはドイツのグランドキャニオンと呼ばれている場所です。
強い風が吹き荒れています。
遠く向こうの方に、さっき座っておやつを食べていた場所がちいさーく見えます。
ほんの一時間前はあそこで悲しく恨めしく今自分が立っている場所を眺めていたのです。
人生は不思議です。 不思議で、面白いです。 自分の生きるこのリアルが一番面白い。
一時間ほど山頂の森の中を散歩したりして、楽しんだので、山を下りることにしました。
帰りのゴンドラも少し揺れました。
今度はフランス人のご夫婦と一緒でした。
記念にと外の景色を写し込んだフレーミングでゴンドラ内でのおふたりを撮影してあげたら
とても喜んでいました。メルシーって。よかった。
ターレ駅への帰り道、朝寄った教会の前で、自分が祈った言葉を思い出しました。
立ち止まり、深く一礼して。駅へ。
クヴェトリンブルグ←→ターレ間の列車は一時間に一本ずつしか運行していないのですが、
朝降りた時に帰りの時刻表を確認するのを忘れていました。
もし出たばかりとするとかなり待たなければなりませんが、
列車はもうホームにスタンバイしていて、私が乗り込んでから10分ほどで発車しました。
実は、時刻表の確認を忘れたことに気づいた時点で、
私は大いなるものに「リクエスト」していたのです。
待たずに列車に乗れるよう、ちょうどいい時間に駅に到着できるようにしてください、
ってね。
この方法はとてもよい方法です。
なんとも言えない胸いっぱいの気分のままクヴェトリンブルグに帰ってきました。
今夜の夕食はまた昨日の可愛いレストラン!と決めていたので、
少し街を散歩して写真撮影をしたあと、そこへと向かいました。
でたらめに歩いていて偶然みつけた場所だったので
ちゃんと迷わず行けるかなと思いましたが、大丈夫でした。
着いてにっこり☆
今日はエンジェルがもうひとり増えています。見える動く喋るエンジェルです。^^
彼女は私のテーブルにずーっと居て、
私がオーダーしたパンやスープを一緒に食べました。お腹空いていたみたい。
実はお店のオーナーさんの娘さんでした。
昨日はいなかったけれど、今日会えたことが嬉しかったです。
私にとって大変意味深い幸せな一日の最後を、この小さな天使と過ごせたこと…..
宇宙が私を祝福してくれているようで。
感激しました。
さあ。
いよいよ明日はケルンへ出発。七時間の列車の旅。大移動です。
この旅の最後の目的地です。
目指すは世界遺産の大聖堂。
天使の住処。
わたしおもいます。
天使と魔法の関係。
魔法のチカラが働く時、そこには必ず天使がいるのだと。
私たちが天使と呼んでいる、宇宙の素敵な、秘密な、なにか。
そこにアクセスする道具。それが、
魔法というチカラ。
ターレ駅。
山の麓。高千穂に似ている風景。
エンジェルランディングの脇を行くゴンドラ。
子供たちに乗られ蹴られ台無しの魔女と悪魔の像。
クヴェトリンヴルグの路地裏。最初にみつけたレストランの窓辺の天使像。
二日目はこの席に座りました。
レストランがある建物の全景と店内。
すごく小さいおもちゃのような可愛いレストラン。
一日目は二階席(ロフト席?)に座りました。
二日続けてオーダーしたジャガイモのクリームタイプのスープ。パン付き。
二日目はお祝い気分だったので、一人旅ちゅう初めてのアルコールも☆
赤ワインを注文しました。
この日のお会計は、半分エンジェルちゃんが食べたからと言って半額ー。
私にぴったりくっついて離れない小さなエンジェル。手には、パン。笑
エンジェルちゃんとふたりで仲良く完食~♪
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