イギリスでの仕事

「いちごさん、どうしたの? いつもとちがうね」と、
会って開口一番そう言われて、内心「しまった」と思ったけれど
もう遅い。
ホント情けなくてすみません。
被写体に気を使わせるカメラマンなんて、最低だ。
シェイクスピア劇場の楽屋口で、旬くんに会った。
リラックスしていてイイ感じ。
もう、前の晩に1公演終わった後なので、落ち着いているみたいだった。
私は不安なまま、とうとうその夜からスタッフとも口がきけなくなった。
撮影初日の朝。
早く起きてバスタブの中に魔女のオイルを入れて1時間ほど瞑想。
私が緊張しすぎたせいで出来てしまった旬くんとの距離を感じて、
なんだか私はバカみたいと思った。
ホント、バカみたい。
だけど撮影が始まり、少し撮ったところで、突然それがほぐれ始めた。
あの瞬間のことは忘れない。
旬くんは、優しい人だと思う。 世界の舞台に立つ人は大きい。  
私は小さい。 世界を知らなすぎる。
そこからスイッチが入った私は、やっと、いつもの自分に戻れた。
途中お茶を飲みながら休憩して、その後、劇場横の川のほとりを歩きながら、
どうして今回こんなことになっちゃったのか、
ここにくるまでに心配に思ってたことを、彼に全部話した。
それから、今までで一番聞いてみたかったことを、尋ねた。
「うん、うん、」とずっと聞いてくれたあと、
とてもわかりやすい答え方で私の質問に答えてくれたことが嬉しかったので、
今度は今までで一番言いたかったことを、とうとう言ってみた。
そうしたら「へえ?」と意外そうにしていた旬くん。 ふふふ。(笑)
撮影を続けながら、ストラットフォードの森やシェイクスピアの眠る墓地へ。
彼から撮影に関するいろんな提案をもらいながら、
なんだか私は感動してしまって、泣きたい気分になったけれど、
こんなところで泣いたりしたら、
他のスタッフがみんなびっくり怖がるだろうと思って(笑)
泣くのはやめました。
彼からの提案はどれも興味深いもので、撮っていてとても楽しかったし、
私からの提案にはどれも「わかったよ」と応じてくれた、俳優 小栗旬。
どうしてかれはあんなにやさしいのだろう?
私達の創りあげたもの、この後どんな形でファンの皆さんまで届けることが?
実は。
ビッグプレゼントが。   あるよ。   いまはまだ、ひみつだけど。(笑)
応援してくれた皆さん、どうもありがとう。

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